クロザリル治療とは

 統合失調症は、脳の様々な働きをまとめることが困難になり幻覚や妄想などの症状が起こる病気です。薬物療法により、多くの場合で服薬による症状改善が見込めますが、中には十分な量、十分な期間服薬しても症状が改善しない「治療抵抗性統合失調症」の場合があります。
 これに対し、世界で唯一有効性が認められている薬が「クロザリル(一般名:クロザピン)」です。
治療抵抗性統合失調症の方のうち、57~67%で症状改善が認められるというデータがあり、海外でも米国、英国をはじめ100ヶ国以上(2016年8月時点)で承認されています。
 当院においては、2022年11月にCPMS(Clozaril Patient Monitoring Service)の登録医療機関となり、2023年からクロザリル治療を開始いたしました。

治療抵抗性統合失調症とは

・統合失調症の治療として、2種類以上のお薬を十分な量、十分な期間服薬しているにも関わらず、改善が見られない。
・統合失調症の治療として服薬をしたが、副作用のために継続が難しく、十分に改善しない。

クロザリル治療の注意点

 クロザリルは治療抵抗性統合失調症に対して有効性の高い薬ですが、他の薬以上に副作用に注意が必要です。主な副作用には、涎が出る、発熱、便秘、眠気やだるさなどが挙げられますが、重大なものとして顆粒球減少症や心筋炎などがあります。
 このため、
薬の開始にあたっては入院治療が必要となります。副作用を早期に発見し、安心してクロザリルを服薬いただくために、治療中は定期的な血液検査を行います。
 当院では[三重大学付属病院 血液内科・精神科]と連携し、万が一副作用が出現した場合でも、迅速な対応ができる体制を整えています。

モニタリングシステムについて

 クロザリルによる治療を安心して受けていただくために、クロザリル患者モニタリング・サービス(CPMS)という第3者機関に定期的に血液検査を報告することが義務づけられています。CPMSによる承認を受けた医療機関でのみ、クロザリルの処方が可能となります。

クロザリル治療の流れ

治療をご検討の方へは下記の流れをご案内いたします。

クロザリル治療を検討の方へ

 統合失調症の方で、いろいろな薬を試しても改善しない、副作用により試せる薬がないと感じられている場合は、治療の1つの選択肢として検討してみてはいかがでしょうか。
 治療の始め方や副作用などについて、ご不明な点がございましたら、主治医(担当医)までお気軽にご相談ください。

<医療機関の皆様へ>

 当院通院中でない方で、クロザリル治療をご希望の方は、診療情報提供書およびクロザリル治療ヒアリングシート(ダウンロードはこちら)をご準備いただき、当院の地域医療支援センターまでご連絡ください。

三重県津市戸木町5043059-255-2986受付時間:平日 9:00-16:30 土曜 9:00-11:30 [ 日・祝日 定休日 ]